さすらいのあと

『雨の日は雨の音を聴くこと』

ワタシの手垢本のなかの本の一節にある言葉です。

今、急激に降りだした雨を見て聴いて、すとんと落ちた。

葉っぱにあたる音や、金属にあたる音。

降る時の落下音。

普段、いかに目に見えることだけで判断してしまっているのかに

気付いた。

耳で聞くだけではない音。


『とてつもなく自由だった。
生暖かい大粒の雨を、肌に痛いほど激しく浴びているかのようだ。
嬉しくて、楽しくて、子どものように歓声を上げながら、目も開けていられないほどの
どしゃぶりの雨に洗われてるみたいだ。こんな自由、今まで知らない。
すーっとここにいたし、どこか遠くに行く必要もなかった。
してはいけないことなど、何もない。
しなければいけないことも、何もない。
足りないものなど、何もない。
私はただ、いるということだけで百パーセント満たしていた。』